支払調書と源泉徴収票との違い、マイナンバーとの関係は?

源泉徴収票をご存知でない方はほとんどいないでしょう。しかし、同じ法定調書の一種である支払調書については、知っている人は極端に少ないかもしれません。支払調書について、その役割や、発行する場合の注意点、そしてマイナンバーの扱いとの関係性について整理してみました。

※この記事は2018年11月に公開したものです。

支払調書とは?

まずはどのようなものか、順を追って具体的に見ていきましょう。

法定調書である

法定調書のひとつが支払調書です。「法定調書」とは、国税庁では「『所得税法』、『相続税法』、『租税特別措置法』及び『内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律』の規定により税務署に提出が義務づけられている資料」としています。つまり、税に関する提出義務のある書類で、60種類におよびます。そのなかから所得税法に関するものをいくつか挙げてみましょう。

➢      給与所得の源泉徴収票

➢      退職所得の源泉徴収票

➢      報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

➢      不動産の使用料等の支払調書

➢      不動産等の譲受けの対価の支払調書

➢      不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

➢      利子等の支払調書

「給与所得の源泉徴収票」は、勤め先の企業が社員に代わり源泉徴収(給与支払い時に支払い者が所得税等を天引)しますが、その内容を示す書類です。1年間の支払い給与総額と支払った税額が記載され、年末調整後や社員の退職時に企業は発行義務を負います。給与を支払った従業員に1部、税務署に1部、市区町村に2部提出されるので計4枚作成されます。
一方、報酬等の支払いに関する支払調書は、会社に発行義務がない点が特徴です。まず、そこを認識してどのようなときに必要になるのかという視点で考えてみましょう。

支払調書の例

例えば、相続税法に規定されたものでは「生命保険金・共済金受取人別支払調書」や「損害(死亡)保険金・共済金受取人別支払調書」などがあります。課税対象となるお金の支払いや相続が発生した場合には、その支払額等を確定させるために、支払い者が発行するものです。
個人で仕事を請ける個人事業主では、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」との関係が深くなります。一般的に「支払調書」が話題に上がるときは、この「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を意味していることが多いようです。
住宅や事務所、駐車場等の賃借で金銭の授受が発生する場合の「不動産の使用料等の支払調書」や、不動産を売却した場合の「不動産等の譲受けの対価の支払調書」が該当します。

支払調書の目的

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と関係性が高いのは自営業者で、確定申告等でその年の収入の証明として、仕事の発注者からこの支払調書を受けておくと、金銭の授受の金額や動きが明確になります。税務署が所得と課税額を確定するときに、支払調書があるほうが望ましいです。

 

支払調書が必要な場合

では、どのようなときに発行、あるいは請求をするのでしょうか。

該当業務で支払い等が、一定の金額を超えるもの

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出しなければならない場合は、以下の業務や職業と金額になります。

  1. 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの。
  2. 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中の全ての支払金額。
  3. プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの。
  4. 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの。
  5. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの。

この職種や仕事内容は限定されますが、必ず「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を発行しなければなりません。
これ以外では、報酬の受け取り者から請求があった場合、必要に応じて支払い者は支払調書を発行することになります。ケースとして多いのは自営業者が確定申告に使う場合です。ただし、前にも触れたとおり、発行義務があるわけではありません。自営業者等は、帳簿で毎回、報酬額等を記録しておけば、それで課税金額の特定に代えることができます。また「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」以外の支払調書は、発行が必要となる対象や金額が個々で異なるので、都度調べて必要に応じて発行したり、発行を請求したりするようにします。

支払調書への記載項目

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の場合、次の項目が主な記載事項になります。

➢      支払いを受ける者の住所や所在地、氏名や企業名等、マイナンバー又は法人番号

➢      報酬や料金の名称と細目

➢      源泉徴収額として、その年度中に源泉徴収すべき税額

➢      支払い者としての氏名や名称、所在人、個人番号または法人番号

支払先が個人の場合

法人番号は公表されるのが前提ですが、個人への支払調書の発行でマイナンバーを記載する場合は、個人情報にあたるため、本人確認で「成りすまし」等に対処する必要があります。また、本人の控えとして発行する支払調書には、マイナンバーを記載しないことになっています。マイナンバーは納税者の特定と管理を容易にしますが、それは税務署内での話です。個人の手元に残る書類にマイナンバーを記載すると、漏えいリスクを高めてしまうからです。

 

支払調書の提出

続いて、具体的な作成から提出までを見ていきましょう。

提出時に利用できるメディア

税務署への提出は、「書面による提出」、「CDやDVDなどの電子メディア」、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」の3つの方法があります。通常企業では、支払調書用の用紙を作成しますが、ひとつ注意があります。個人番号は12桁、法人番号は13桁で、個人番号は右詰で記入するルールになっています。

支払調書の提出をしなかった場合

提出義務がある場合でそれを怠ると、税法上の罰則が適用されます。支払調書の目的が税の正確な徴収のためのものだからです。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の例のように、発行・提出義務が限られることもありますが、支払い等が発生した場合は、国税庁のホームページ等でチェックするようにしましょう。

 

いざというときに求められても慌てないように

支払調書についても普段から注意しておくようにしましょう。支払調書の発行義務があるのは「源泉徴収義務者」であり、提出先は「税務署」となります。支払う側が税務署へ提出すればよく、報酬を受け取る側に対しては発行する必要はないのです。ですので発行を依頼された場合、一度チェックすることをおすすめします。なかでも注意したいのはマイナンバーです。記載してはならない場合もあるため、利用目的等を明確にし、個人の特定できる書類の請求などにも気を配る必要があります。不要な情報は記入しない、不要な書類は求めない、発行しないという姿勢が大切です。

 

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