知っているようで知らない?固定資産台帳のキホン

「固定資産」そして「減価償却」。言葉はいろいろなところで聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にどうやって処理するのか、そもそも何のことなのか、よく分かっていないままだったりしませんか? 今回は、固定資産の管理と減価償却のために必要な「固定資産台帳」について、基礎知識から読み取り方までをじっくり説明します。

減価償却と固定資産台帳

そもそも「減価償却」とはいったい何のことでしょうか。「減価償却」と「固定資産台帳」にはどんな関係があるのでしょうか。まずはそこからおさらいしましょう。

減価償却とは?

まず、減価償却の対象になる固定資産とは、主に、10万円以上で購入し、事業用に長期間にわたり使用する、建物・車両・備品などのことを指します。例えば、社用車やパソコンなど、仕事に使うために買った高額なアイテムが該当すると考えればよいでしょう。

長期間使用する固定資産は、原則として一度に費用全額を経費として計上せず、それぞれのアイテムの耐用年数に基づき、年ごとに配分して計上していきます。そのことを「減価償却」といいます。時間がたつごとに価値が低くなる資産に対し、その年ごとの価値を算出し、価値が下がったぶんを経費として計上していく、と考えると分かりやすいかもしれません。

減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2つがあります。「定額法」では、購入費用を耐用年数で割って、毎年同額ずつ計上していきます。一方、「定率法」では、初年度に多めに計上して、残りはあらかじめ決めておいた償却率を掛けた金額を計上していきます。基本的にはどちらの方法を採用しても問題ありませんが、固定資産の種類によっては「定額法」しか認められていない場合もありますので注意してください。

減価償却の管理はとても難しいです。どこにある何をいついくらで買って、耐用年数が何年で、定額法か定率法か…すべてを控えておかないと、把握できなくなってしまいます。暗記ではとても管理できません。パソコンだけでも、社内のいろいろな部屋にバラバラに買ったものが何十台も置いてあったら、管理はもう大変です。 そこで必要になるのが「固定資産台帳」なのです。

減価償却と固定資産台帳の関係

「固定資産台帳」とは、固定資産を持っている事業者が備えなければならない、減価償却を管理するための書類です。個々の固定資産について、減価償却をするために必要な情報を記入していきます。

具体的には、

  1. 減価償却の計算に必要な項目(取得年月日・耐用年数・償却方法など)
  2. その固定資産をどのように経費として計上していったのかが分かる項目

の2つのグループの情報が書かれています。どちらも大切な情報です。

損益計算書や貸借対照表、青色申告決算書などにも似たような項目を記入する欄がありますが、細かい内訳までは入っていません。固定資産を複数持っている場合、その内容では詳しいことが分かりません。そこで、固定資産台帳をつけることにより、何がいつどうなっているかが一目瞭然となり、一つひとつが正しく計算されているかどうかを確認することができます。もちろん、資産管理にも大変役に立つ書類です。また、固定資産台帳は税金の計算にも関わってくるため、税務署のチェック項目にもなっています。きちんと記入・管理しなければいけません。

固定資産台帳の読み方のコツ

固定資産台帳がとても大切な書類であることはご理解いただけたと思います。しかし、実物をちゃんと見たこともないし、どんなものなのか、どうやって読むのか分からない…そんな方のために、固定資産台帳の攻略法をレクチャーします。

これが固定資産台帳だ!

固定資産台帳の様式は特に定まっていません。しかし、記入しなければならない項目は決まっています。

  1. 資産の区分(機械、建物、など)
  2. 耐用年数(税法で定められており、種類によって異なる)
  3. 取得年月日(購入した日。この日を起点にして減価償却費が発生する)
  4. 償却方法(定額法/定率法)
  5. 資産の名前(車の車種やパソコンの機種名など、どの資産かが特定できる情報を含める)
  6. 設置場所
  7. 個数
  8. 取得金額(購入時に払ったお金)
  9. 当期減価償却費・特別償却費金額(基本的に貸借対照表・損益計算書と同じ金額)
  10. (台帳をつけた時点での)金額

これらの項目が欠けていると減価償却の計算がきちんとできませんし、実際の固定資産の所在も分からなくなってしまいます。もしかしたら、税務署のチェックで指摘されてしまうかもしれません。しかし、どこに何の項目を書くかは自由なので、作った人によって見た目が全然違うこともあります。「必要なことが分かればいい」ということです。インターネット上にもたくさんのテンプレートが公開されていますし、もし可能であれば複数の企業や団体の固定資産台帳を見比べてみるのも面白いのではないでしょうか。

これらの項目を、資産を取得した時(購入時)と、毎年一度(年末)の実際に減価償却をする時に記入し、更新していきます。子どものころにつけていたお小遣い帳を思い出してみてください。「何月何日にいくらもらって、何月何日にいくら使って、いくら残っているか」を計算してきちんと書いていましたよね。今思えば、あれも立派な帳簿でした。あのころのお小遣い帳と同じようなものを年に1回つけていく、と思い浮かべていただければ、分かりやすいかと思います。

固定資産台帳、どうやって読む?

固定資産台帳に何が書いてあるかは分かりました。しかし、それぞれの項目をどう組み合わせれば何がどこまで分かるのかは、読んでみないと分かりませんよね。それでは、実際に読んでみましょう。

突然ですが、問題です。とある固定資産台帳に、下記のような記載がありました。どうやらパソコンを買ったようですが、詳しいことを知っているはずの社長は不在です。さて、この固定資産台帳からは何が読み取れるでしょうか?

  • 記載日:2018年12月31日
  • 取得年月日:2018年1月1日
  • 資産区分:パソコン
  • 耐用年数:4年
  • 取得金額:200,000円
  • 資産名:社長PC
  • 台数:1
  • 設置場所:社長室
  • 償却方法:定額法
  • 当期減価償却費:50,000円
  • 現在金額:150,000円

それでは、答え合わせです。

まず、2018年の元日に200,000円のパソコンを1台購入し、社長室に置いて、資産の名前を「社長PC」にしました。パソコンの耐用年数は4年と定められていて、定額法で減価償却することにしました。定額法は「取得金額を耐用年数で割って、毎年同額ずつ計上していく」方法でしたよね。ということは、毎年償却していく金額は、取得金額200,000円を耐用年数4年で割った50,000円です。

その後、年末になったので、いよいよ減価償却の計算と固定資産台帳の更新をしました。2018年の大みそかに、取得金額200,000円から減価償却費50,000円を引いた150,000円が現在の「社長PC」の価値である、と記載しました。そして、減価償却費として引いた50,000円が2018年度の経費として計上されました。

という内容でした。いかがでしょうか? 読み取れましたか? 固定資産台帳がひとつあるだけでも、こんなに詳しい情報が分かります。あってほしくないことではありますが、万が一人事異動の際に引き継ぎがなくても、固定資産台帳があれば安心…かもしれません。

上記は分かりやすい例として記載しましたが、例えば「期中に購入した場合(月割按分)」や「事業用にも使っているけれどプライベートでも使っている(事業専用割合)」など、さらなる計算の必要に迫られることもあります。ちょっと複雑ですね。でも、冷静に読み取れば大丈夫です。固定資産台帳を味方につけて、減価償却をスマートにこなしましょう!

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