社員研修は経費で計上できる?知っておきたい「教育訓練費」の使い方

社員のスキルアップに役立つ社員研修は、経費で計上することで企業の節税手段としても利用することができます。ただし、社員研修なら何でも経費にできるわけではありません。重要なのは、「社員研修で学ぶ知識やスキル・資格が直接仕事をする上で必要なもの」であるかどうかです。
今回は、社員研修の費用を経費として計上するために知っておきたいポイントをご紹介します。

社員研修を経費で計上できるかどうかは「業務上の必要性」で決まる

社員研修の費用を経費として認めるかどうかについては、国税庁も個別に判断して決めているのが現状です。とはいえ、ある程度どういう勘定科目で経費にすれば良いのか、どの費用を経費にできるのかなどの基準は決まっています。

まずは、社員研修を費用で計上するために押さえておきたい「仕事上の必要性」について解説していきましょう。

国税庁のルールでは「仕事に直接必要」なら経費にできる

社員研修に関する経費のことを、専門用語で「教育訓練費」と呼びます。そして、国税庁が定める教育訓練費の必須条件は、以下の通りです。[注1]

  • 会社での仕事に直接必要な技術・知識の習得にかかる費用
  • 会社での仕事に直接必要な免許・資格に関する費用
  • 会社での仕事に直接必要な大学の講義等を受けるための費用

ポイントは、「仕事に直接必要」という部分です。例えば、バス会社が新しく運転手候補として雇った社員に対して、「バスの運転免許」を取得するための費用を負担する場合、「バスの運転は業務上直接必要」な費用なので経費として計上できます。

「仕事に直接必要かどうか」は、社員研修の費用を経費として計上する上で一番重要なポイントです。節税目的で社員研修を活用する場合、各社員が担当している仕事と社員研修によって得られる知識・技術・資格が必要かどうかを良く考えましょう。

[注1]国税庁より:No.2588 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2010/taxanswer/gensen/2588.htm

研修旅行も「直接仕事に必要」なら経費として計上可能

社員に対するレクリエーション旅行や、国内外の研修旅行をする場合でも、「仕事に直接必要」であれば経費として計上することができます。

こちらも具体的な基準は国税庁のホームページで公開されており、以下の基準を満たしていれば、研修旅行の費用も経費となります。[注2]

  • 4泊5日以内の旅行
  • 社員の半数以上が参加している
  • 仕事に直接必要な旅行である

また、「研修旅行のついでに観光もする」といった場合は、仕事に直接関係のないプライベートな観光部分については、経費から差し引きます。

実際には、旅行代金等を考慮して個別に経費として計上できるかどうかを判断するため、顧問税理士や顧問会計士と相談してどこまで経費にするか決めましょう。

[注2]国税庁より:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm

経費として計上する際の勘定科目は「教育訓練費」

続いて、社員研修の費用を実際に経費として処理する際のポイントをご紹介します。

社員研修の費用は原則「教育訓練費」として処理

仕事に直接必要な社員研修のために企業が費用を負担した場合、使用するのは「教育訓練費」という勘定科目となります。会計や税務の原理原則として、年度によって教育訓練費にしたり違う勘定科目にしたり、社員によって勘定科目をわけたりするのは好ましくありません。

適切に処理していれば、セミナーの参加費や大学等で開催される講義の聴講料、資格試験の受験費用なども教育訓練費として経費に計上できます。

研修先への交通費や宿泊費は教育訓練費にできない

社員研修の費用を経費として計上する場合、注意したいのが「交通費・宿泊費は経費にできない」という点です。企業が経費として負担できるのは、あくまでも「研修そのものにかかる費用」となります。セミナーならセミナーの参加費、講師を招く場合は講師の謝礼などが対象です。社員によって住んでいる場所も違いますし、「研修先までの移動」や「研修後の宿泊」で何か仕事に直接必要なことを学んでいるわけではないため、経費として処理できないのです。

交通費や宿泊費に関しては、「旅費交通費」や「交際費」という形で経費にしましょう。

仕事に直接関係ない研修費用や一部の学費は経費として計上できない

社員の研修費用を経費として落とせるのは、「仕事に直接必要な場合」のみです。そのため、バス会社の運転手候補として雇われている社員に「アーク溶接作業者」の資格取得費用を支給しても、溶接技術は「直接仕事に必要なわけではない」ため、教育訓練費にできません。

また、専門学校や大学へ通うことが直接仕事に関係しない場合、学費を経費にできないので気をつけましょう。仕事に必要であれば社員を海外の大学等へ経費で留学させることもできますが、教科書代や学費以外の費用を経費として計上することはできません。退職する社員へ向けて、退職支援の一環として社員研修を実施する場合も、社員研修の内容を自社の仕事に直接役立てるわけではないため経費にできません。

経費にできるかどうかのバランスを見極めよう

社員研修の費用は、仕事に直接必要なら経費として処理できます。しかし、仕事をする上で特になくても良い知識・技術・資格などは経費にできないため注意が必要です。社員研修は社員のスキルアップと節税を同時にできる便利な節税対策にもなるため、利用する場合はどこまで経費にできるのかをじっくり考えてから決めましょう。

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