経理研修のポイント、業務の重大さと将来性の視点

仕事は学ぶことから始まります。会社組織のなかでは専門的な部署である経理でも、新卒で簿記や税理士の資格を持って入社する人は少数派です。経理の基本を学び応用力を身につけることは、コストダウンなど経営に直結するような課題をクリアにすることができる重要な役割があります。また、近年の経理業務は、ICT化やアウトソーシング導入という新しい流れもあり、ゆっくりですが確実に変化しています。経理業務を主に担当するスタッフは、社員のほか、派遣社員も一緒に働くことも少なくありません。そこで今回は、経理入門となる経理研修について見てみましょう。

調査から見た経理部の実態

まずは、研修についての説明の前に経理業務やその仕事の実情から見てみましょう。

調査結果から見た経理部

どのような仕事でも専門知識が必要ですが、経理は税法との関係や、企業にとって大切なお金や、企業活動の成績表といえる会計書類を作る仕事に従事するため、専門知識の習得はいっそう重要になります。

産業経理協会が平成29年8月に、会員の上場企業クラスを中心に75社を調査したところ、経理部社員の研修について、「計画的」に実施していると回答した会社は83%に達しました。具体的な研修機関としては、「外部研修」(32%)、「内部研修」(9%)、外部研修と内部研修の「両方」(56%)という結果になりました。

経理部の仕事をするうえで必要と考える会計知識のレベルは、この調査では「簿記2級程度」(49%)、「簿記1級と2級の間」(27%)、「簿記3級と2級の間」(12%)という結果になりました。

経理に従事するスタッフの自主的な学習も大切ですが、それを促し、必要な知識のレベルに達してもらうためにも、定期的な研修が必要であると考えている企業が実際に多いことがわかります。

経理業務を取り巻く要因

一方で、時代の変化とともに経理業務の環境も変わりつつあります。

アウトソーシング会社の利用や、補助スタッフとしての派遣社員との役割分担、また、ビジネス全体がICTの発展とともに変化するなか、経理業務は、クラウド経費精算やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のようなコンピューターによる定型事務処理の自動化など、新しい潮流のなかにいます。これらの活用は今後も必要不可欠であり、ますます深い関わりを持つことになるでしょう。したがって、経理スタッフとしての専門知識のほか、管理能力やICTの知識も必要になってきます。

これからの経理業務と経理部の役割

経理部門の将来ついて考えてみますと、経費抑制は今後も厳しくなり、そのためにはアウトソーシングの有効利用やICTを活かした経理業務の改革は避けて通れなくなります。専門知識とコミュニケーション能力を合わせ持つ経理部管理職の育成も、それに付随して求められるようになります。

経理に必要な研修と人材育成のポイント

では経理に関する研修について、実際にどのような種類があるか見てみましょう。

新人経理スタッフ

ビジネスマンの多くは「見える化」という言葉、その意義を知っていると思います。業務が見えることで、問題箇所や重要ポイントの把握ができ、それに対する行動がわかるようになります。これは経理の新入社員研修にも当てはまることで、業務全体の流れ、担当区分、書類の種類とその目的、それぞれの管理方法、そして経理の役割などをすべて「見える化」したほうが、知識の習得が速く、実践の勘所も養われやすいといえます。つまり、実務の全体が見えるような環境づくりと知識の習得が重要です。それにはOJTと座学研修の双方をうまく使い分けるなどの方法が効果的です。

また、教える側の巧拙は人により差がありますが、教わる側の新入社員に知識やスキルのばらつきが出るのは問題です。ひとつの方法として、研修のプロフェッショナルである外部の専門会社に委託することを検討してみましょう。財務諸表の基本やキャッシュフロー、また簿記関連の基本など、経理の知識や習得すべきスキルについては、専門的な知識や実績豊富な外部講師のほうが着実で早い結果が得られる場合が少なくないです。

中堅~リーダーや管理職

中堅社員やリーダー、管理職がICTのような新しい技術の知識がなく、活用できないようでは、経理部門のICT化や、若手経理スタッフのICTスキルの向上は望めません。営業部門はライバルに先んじるため、最新の営業ツールや顧客管理システムの導入には積極的です。経理部門も、後れを取らないようにしましょう。

経理の専門知識のみが価値とされていた時代は、上司の知識の豊富さだけで部下は付いてきたかもしれません。しかし現在は、社内コミュニケーションの優劣が組織全体の生産性を左右するとまでいわれています。専門知識以外にも、部下を育てるメンターとしての力や、会社のなかの経理の役割を全うする管理職としての知識や行動基準を持たなければなりません。そういったものは本人の自己啓発だけに頼るのも難しいです。研修が有効であることはいうまでもありません。

一般社員研修

伝票を出し忘れたり、記入ミスを起こしたりする社員は、往々にして経理本来の業務や、経理上必要な手続きの意味が根本的にわかっていないものです。会社の売上や自分が担当する経理業務との関係性を理解することで、面倒と思われがちな経理処理への意識が変わり、正しい書類の記入方法や期日に目を向けることになるでしょう。

社員として一人前になると、取引先の損益や財務などを見られる能力が求められます。大きな商談や提携の場合、相手の信用力を判断する重要なスキルになります。そして行く末、会社の経営に携わるようになる幹部候補ならなおさらです。

これらの研修の企画や管理を経理部門自ら行うことで、経理業務の負担を減らすことにつながります。

専門+総合職的な知識が重要

ビジネスでは当然ですが、売上とその経費が常に伴います。よって、ビジネスにはお金の勘定が不可欠なので、経理業務の改革をすることで、ビジネスの重要な部分の改革にもつながるわけです。経理社員は経理のプロフェッショナルですが、時代とともに変わるビジネス環境と関連して、経理に役立つ新しいコンピューター技術の知見をシステム部門から求められることもあるでしょう。

これからの経理部門は、経理の専門知識のほか、合わせてマネジメント能力やICTスキルのための研修も履修することで、時代に合った強い経理部門をつくることが可能になるといえます。

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