定期的に見直さないでも大丈夫?新入社員の受け入れ体制の在り方

ビジネス環境は今まさしく変化しています。よって、ビジネスモデルの見直し、ICTシステムの刷新など、企業も常に進化しなければなりません。では、新入社員の受け入れの準備や、入社後の研修・OJTなどについてはどうでしょうか? 従来の慣習を踏襲しているに過ぎないのではないでしょうか。
ビジネスの変化は社会の変化でもあり、マスコミが取り上げるように、若者の気質や志向も違ってきています。
新入社員の受け入れ体制について、再検討してみましょう。

データで理解する新入社員

まず、今後調達できる労働力(労働者数や質)について再考することからはじめましょう。

労働力人口は完全な頭打ち、高齢化で減少の方向へ

少子高齢化、人口減少が明らかになった日本では、当然労働者の人口も減少の道をたどります。厚生労働省が発表している調査データによると、各年1月の労働力人口(15歳以上で労働する能力と意思がある男女)の推移をみると、平成10年の約6,800万人をピークに徐々に減少傾向となっています。大卒者の就業者数だけを取り上げると、平成20年の446,208人から下降し、平成28年3月にようやく447,628人に戻りました。「優秀な学生がほしい」と願っても、年々難しくなると考えるべきでしょう。

3年以内に離職する大卒者は3割

そのうえ、採用しても3年以内に離職してしまう大卒者は3割にのぼるのです。平成16年3月にその離職率は36.6%でピークを迎えましたが、以後、平成26年まではほぼ3割台で推移してきました。さらに、「1年以内」でみると、離職率は1割台で10人に1人が辞めてしまいます。
「今の若い人は辛抱が足りない」となりがちですが、採用に関する研究機関の見方では、「企業と学生側とのミスマッチ」であるとしています。この齟齬をなるべく早い段階で解消すれば、早期離職を抑えられるかもしれません。
採用が難しくなる環境での新規採用のコストを、その後のコミュニケーションや育成に回し、離職者を減らすほうが時流に合っているのです。

新入社員とのコミュニケーション課題

新入社員は研修を経てすぐに戦力化するのが会社や本人のためという考え方が一般的です。その通りではありますが、離職防止という意味では、それ以前の意思の疎通、相互の理解と目標の設定などの時間を厚くしたいものです。
そのポイントや注意点についてもみてみましょう。

文字と言葉でしっかりと伝える

「上司の背中を見て仕事を覚える」「先輩の技を盗む」は、早く一人前になるための心構えです。しかし、これを理由に「学び方に問題がある」として、教える側の責任を軽く見る傾向があることも否定できません。「空気を読む」も同様で、このような体質や風習があるかどうか、一度自社を分析する必要もあります。対面はおろか、電話のコミュニケーションも少なくなり、テキスト(文字)や画像の交換で情報や意思を伝え合うのが現代の若者です。雰囲気を感じ取らせるのではなく、文字や言葉にしてしっかりと伝える必要が従来よりも高まっていると見るべきです。

聞き出す、話させる

入社してから実際の現場に立つまでの時間はそうありません。よって、その間できる限りの会社や仕事の知識、ビジネス上の作法を伝えようと思うのは当然です。
しかし、時には立ち止まり、新入社員の気持ちを聞いてみることも大切でしょう。質問のようなかしこまったものではなく、自由に話をさせるほうが効果的です。新入社員自ら、思いや考えを口にすることで、参加意識が高まり、その後の研修やOJTへの好影響が考えられるでしょう。

将来を見せる

キャリアプランを早い段階で示し、先行きの方向性について話し合う時間を持ちましょう。会社の将来と自分のスキルや経験、専門分野、そして将来の夢との共通点が見出せることがベストです。
例えば管理部門を希望していたのに営業に配属された場合、営業経験を積んだうえでの将来の異動について話し合えば、配属先での仕事への取り組み方が変わってくるはずです。

人事がするべき受け入れ体制

続いて、新入社員の受け入れ準備について具体的にみてみましょう。
基本的な会社の知識やビジネス上のマナーについて教示しておくことで、配属先で業務の習得に集中できます。以下が人事として考えたい受け入れ体制と準備です。

新入社員のマナー研修

電話の受け方、メモの書き方等いずれは覚えることですが、ここでつまずくと配属先でマイナス評価からスタートする危険性があります。スマートフォン世代はパソコンに不慣れなこともあり、使用するソフトウェアやツールの基礎研修も実施しておくのが望ましいでしょう。

改めて会社の説明

会社について面接時では説明できなかったこと、聞けなかったことなどを率直に伝えることで理解が深まり、その後の意思疎通も円滑になります。

給与体系や昇給昇格の仕組み

新入社員は、給与体系や昇給昇格の仕組みについての明確な説明がないと会社に不信感を抱きます。これらの条件はしっかりと相手が納得ゆくまで説明しましょう。キャリアプランの説明との併用で努力目標が具体化していくことが望ましいです。

コンプライアンスの研修

個人情報の扱いの大切さは、社会人と学生では大きな隔たりがあると認識しておくべきしょう。知っていて当たり前と考えず、基本的な「社内での何気ない会話、電話メモも機密情報である」といったことから説明するようにします。

配属先での受け入れ体制

続いて配属先での新入社員の受け入れ体制について説明します。
新入社員は、業務の状況や社員の異動などといった動きのある時期の受け入れとなることが多いため、実は人事以上に事前のプランや準備が大切なのです。
受け入れのプランがしっかりとしていれば、戦力となるまでの期間を短くでき、新入社員としても「期待されている」という認識を持ちます。
配属先の受け入れ体制・準備は次のようなものになります。

席や役割の決定、ビジネスツールの配布と指導

役割を決めれば必要なツールも選定されます。そして次に示す育成者との関係で席も決めましょう。

育成者と育成プラン

「新人はお荷物」と考える上司や先輩社員は少なくありません。会社は事業計画に沿って採用したつもりでも、現場の意識は違うことがあります。誰が責任を持ってどのように育成していくかは、その部署の方針や長期計画とも関係してきます。直前ではなく、受け入れの半年ぐらい前から検討しておきたいものです。

仕事の割り振り、業務スケジュール

「人手不足だから採用した」という現実があったとしても、育成プランに基づいた受け入れ体制を用意しておかなければなりません。育成プランがないといつまでも役割が決まらなかったり、就く仕事が一定でなくなったりするなど、新入社員を不安にさせてしまいます。
ひと月、半年、1年の大まかなスケジュールを示したほうが、身につけるべきスキルや知識などが新人にも理解でき、本人のやる気も高まるでしょう。

人事主導であるべき

現場は仕事のプロフェッショナルですが、「仕事を教える」ことと「人を育てる」ことは異なります。知識と経験で教えることはできても、新入社員教育のマインドは持ち合わせていないことがあります。そのためにも、受け入れ体制・育成体制を人事主導で構築し、現場の確認や指導を行わなくてはなりません。
ダイバーシティが叫ばれる時代、企業は新入社員を「社風に馴染ませる」だけではなく、彼らの「新しい気質や感性を受け入れる」くらいの柔軟性が必要ではないでしょうか。
幅広い人材を適材適所に活用し、全体の生産性を高めるものでなければならないとし、新人の受け入れの在り方を考えていくことが必要です。

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