タイムスタンプ期限延長、事前申請不要、さらに電子保存は義務化へ。電子帳簿保存法改正で変わる3つのポイント

タイムスタンプ期限延長、事前申請不要、さらに電子保存は義務化へ。電子帳簿保存法改正で変わる3つのポイント

2020年12月の閣議決定で定められた「令和3年度税制改正の大綱」。このなかには国税関係書類の電子データ保存を認める電子帳簿保存法についても触れられており、タイムスタンプ期限の延長など、電子保存における要件が大幅に緩和されています。今回、2022年1月施行の法改正により、多くの企業が電子保存の導入に踏み切りやすくなったといわれていますが、具体的にはどのように変わったのでしょうか。この記事でまとめてみました。

タイムスタンプ付与の期限は最長2ヶ月へ

今回、2022年1月施行の法改正では、これまで電子保存の際に満たす必要があった要件のいくつかが緩和され、多くの企業にとって運用しやすいルールに変わりました。そのなかのひとつが電子文書作成時のタイムスタンプ付与の期限で、従来は3営業日以内と定められていたものが、最長2ヶ月以内と概ね7営業日以内と大きく延長されています。

領収書や契約書、請求書といった税務関係の書類をスキャンして保存する場合、改ざんや隠蔽などの不正行為を防止するために、電子データが作成された日時(スキャンされた日時)を示すタイムスタンプを付与する必要があります。タイムスタンプがあることで「タイムスタンプの付与時に確実にデータが存在していたこと」「タイムスタンプの付与時からデータが変更されていないこと」の2点を証明することができ、データの信頼性を担保しているのです。

改正前の法律では、書類のスキャン後3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありました(書類の受領者とスキャンする作業者が異なる場合は7営業日以内)。この期日は「おおむね」3営業日以内と定められており、やむを得ない事情で多少遅れることは許容されていました。ただ、それでも長期休暇に入る前や在宅勤務中など期日を守るのが難しいケースもあります。

改正後の2022年1月以降ではこの期日が最長2ヶ月以内と概ね7営業日以内まで延長され、担当者が余裕を持って作業することができるようになりました。長期休暇や在宅勤務の場合でも、スキャニングのためだけに出社する必要もなくなり、届いた書類をある程度まとめてスキャンするなどワークフローに合わせた運用が可能になっています。

また、修正や削除などの編集を行った場合、その履歴が残るようなシステムを利用していればタイムスタンプの付与自体が必要なくなったことも注目すべきポイントです。経費精算システムには改正された電子帳簿保存法への対応をうたっているものも多く、こうしたシステムを利用することで、大幅に業務の負担が軽減されることになります。

税務署長の事前承認制度も廃止に

今回の要件緩和のなかで、タイムスタンプと並んで大きな注目を集めているのが税務署長の事前承認が不要になった点です。

改正前の法律では、電子保存を導入する場合は原則、運用を開始する3ヶ月前までに所轄の税務署へ申請し、承認を得る必要がありました。この申請書には使用するシステムや処理責任者、作業工程などを明記する必要があり、実際に運用が始まるよりもかなり早い段階で業務プロセスを詰めておく必要がありました。また、申請しても認められない場合は申請が却下されるケースもあります。

業務プロセスの構築や審査書類の準備、申請から承認までの期間までを含めると、実際に運用が開始できるまでには半年〜1年ほどの期間が必要といわれており、企業にとっては導入の大きなハードルとなっていました。

改正後は、この税務署長の事前承認制度が完全に廃止されました。審査なども必要ないため、経費精算システムやスキャナ、社内ルールの準備ができ次第、すぐに運用開始することができます。準備期間が大幅に短縮できるだけでなく、事前の申請書類も不要になったことで導入へのハードルは大きく下がったといえるでしょう。

電子データ保存の義務化

2022年1月施行の法改正により大幅な要件緩和がなされた一方で、一部では厳しくなった要件もあることに注目しておく必要があります。

電子帳簿保存法では、電子取引を行った場合に取引情報に関わる電磁的記録の保存について、以下のように定められています。

第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

【引用】電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 | e-gov法令検索

この「電子取引」とは「注文書や契約書、送り状、領収書、見積書など取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」とされており、わかりやすくいうと電子メールやウェブサイト上で注文書や契約書などのやり取りを行う取引が該当します。

この条文には但し書きがつけられており、「当該電磁的記録を出力することにより作成した書面」つまり電子メールなどで送られてきたPDFデータを、プリンタで出力し紙で保存することが容認されています。注文書や契約書など取引情報の授受を、電子メールと郵送の両方で行っている場合、文書の管理の手間を省くためにPDFデータを出力してすべて紙で保管しているケースは少なくないでしょう。

しかし、改正後は電子取引で授受した取引情報は必ず電子データのまま保存することが義務化されました。そのため、社内の業務フローで注文書や契約書などの取引情報を出力して保存している場合、2022年1月1日以降は電子データで保存するフローに切り替えないと、保存要件を満たさないことになってしまいます。

メールソフト内での保存では不十分

電子メール経由で注文書や契約書、送り状、領収書、見積書など取引情報の授受を行った場合、電子データで保存されていることが義務付けられていますが、具体的にはどのような方法で保存する必要があるのでしょうか。

通常、送られてきた電子メールはPDFなどの添付ファイルごとメールソフト内に保存され、いつでも確認することができます。電子データとして保存され、いつでも確認できる。一見するとこれで問題ないようにも見えますが、実はメールソフト内に保存するだけでは電子帳簿保存法における保存要件を満たしたことにはなりません。

電子帳簿保存法では、文書を電子保存する場合には「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件を満たすことを求めています。それぞれの要件を満たす方法はいくつかありますが、実質的には以下のような準備が必要と考えるといいでしょう。

・真実性の確保:保存文書にタイムスタンプが付与されていること(もしくは編集記録の残るシステムで授受・保存を行うこと)

・可視性の確保:保存場所に文書をいつでも確認できる機器(パソコン、ディスプレイ、プリンタおよび操作マニュアル)を用意し、取引年月日、勘定科目、取引金額により検索できるシステムで保存すること

これらの要件を満たさない場合、保存が不十分とみなされ税務調査で指摘を受けることにもなりかねません。そのため、施行開始となる2022年1月1日までに準備を整えておく必要があります。

電子帳簿保存法の保存要件については以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。

【関連記事】「今さら聞けない「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の違い、おさえておくべきポイントは?」

大幅な要件緩和も、保存要件はしっかりと確認を

タイムスタンプ付与の期間延長や税務署への事前申請が不要になるなど、基本的には大幅な要件緩和がなされた今回の法改正ですが、義務化された部分もあり注意が必要です。事前にしっかりと情報を確認しておきましょう。

電子保存を導入するメリット・デメリットについては以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。

【関連記事】「改正電子帳簿保存法は2022年1月施行!企業にとってのメリット・デメリットは?」

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