宣伝費用だからといってすべて経費ではない!広告宣伝費を経費計上するためのポイント

宣伝費用だからといってすべて経費ではない!広告宣伝費を経費計上するためのポイント

広告宣伝費は、交際費や資産としっかり区別して計上する必要があります。本来広告宣伝費にできないものを間違って広告宣伝費にしてしまうと、税務調査等で否認されてしまうことがあるため気をつけましょう。今回は、広告宣伝費を確実に経費として計上するために知っておきたい広告宣伝費の考え方や、経費にできるかどうかのボーダーライン等を解説していきます。

注)本記事の内容は2019年3月執筆時点の情報です。詳細は専門家等に確認のうえご判断ください。

宣伝に係る経費かどうかが大前提

一般的に広告宣伝費として認められる費用は、「自社の商品やサービスを、広く一般の人に知ってもらうためにかかった費用」となります。既存の商品におまけでつける新商品のサンプルの発注費用や、企業名の周知を目的として用意する粗品の製造代金、新聞・テレビCM・雑誌広告等の掲載料は「誰が見るか、手に取るかわからない」ので広告宣伝費として計上可能です。

しかし、宣伝効果がわからない特定の相手や企業に対する接待やお土産などは、対象が「不特定多数」ではないため広告宣伝費にはできません。

広告に係るものでも会食費用などは「交際費」

いわゆる「交際費」にあたる費用は、広告宣伝費として計上できません。取引先へのお土産や、会食などにかかった費用は、原則交際費として処理する必要があります。

ただ、どちらも「他人のために使うお金」なので、経理をしている際に混同しやすい項目でもあります。交際費にあたるのか、それとも広告宣伝費にあたるのか迷ったときは、「不特定多数に宣伝目的で使うお金かどうか」を考えましょう。

30万円以上の支払いは経費ではなく資産

会計の基本として、「30万円以上するもの」は経費ではなく「資産」として計上し、減価償却する必要があります。経費とは、大雑把に説明すると「買ってから1年で価値がほぼゼロになる消耗品」のことです。わかりやすいところでいえば、文具などは金額的にも少額で、売却してもさほどの利益にならないため「特定の年度の経費」として1年で全額損金処理できるわけです。社員に支払う人件費も、本年度の給与を翌年分に分割して支払うといったことはしないため、すべて同じ年の経費として処理します。

ただ、一定額以上の価値あるモノやサービスは、1年程度で価値がなくなることはありません。

年間で平均1,000万円の利益を出している会社が、1億5,000万円で自社ビルを建てたとしましょう。自社ビルの建設費用を全額ある年の経費として処理した場合、自社ビルを建てた年は「1,000万円-1億5,000万円」なので無税となります。しかし、中小法人の場合赤字を最大10年繰り越せることを考えても、最大で1億円分しか損金として処理できません。

大きな額の買い物を全額経費にしてしまうと、かえって損をしてしまうのです。そのため、30万円以上の買い物に関しては一旦「資産」として計上し、「法定耐用年数」に基づいて毎年少しずつ資産価値が減っていくという手続き(減価償却)を行います。

先ほどの例でいえば、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は事務所用で50年、一部木造の飲食店用でも34年に分割して少しずつ経費に計上できるため、長い目で見ればより大きく節税できるわけです。

ロゴのデザインは「商標登録」すると資産扱い

社名や商品名、企業ロゴ等は、「商標登録」すると自社で独占して使うことができます。ただし、商標登録をした場合、ロゴのデザインは資産という扱いになり、10年かけて減価償却することを求められるのです。

商標登録をしなければ、デザインにかかった費用を「広告宣伝費」として処理できますが、商標登録をすると資産として計上する必要が出てくるため、注意しましょう。

「広告したとき」が計上のタイミング

広告宣伝費を経費として処理する際の注意点として、忘れてはならないのが「計上のタイミング」です。

広告宣伝費は、「お金を払ったとき」ではなく「実際に広告宣伝に使ったタイミング」で経費に計上します。例えば、自社のテレビCMを作成するにあたって2019年の12月に契約をして契約金を支払い、CMの初回放映日が翌年の4月だった場合、契約金を2019年の経費にすることはできません。実際にCMが放映された、2020年の経費として計上することになります。

BtoB企業では広告宣伝費に計上できないことも

一般消費者相手ではなく、業者や企業を相手に商品やサービスを提供するBtoB企業の場合、不特定多数に配布するカレンダーやチラシ等を作っても広告宣伝費とはみなされない場合があります。

なぜかというと、広告宣伝費には「一般消費者相手の出費のみ」という考え方があるからです。製薬会社が顧客の医師に営業をかける、美容品メーカーがエステティシャンや美容師に営業をかけるなど、プロ相手のビジネスにかける費用は交際費になります。

きちんと見極めて広告宣伝費として処理しよう

広告宣伝費は、特に交際費と混同しやすいです。30万円以上の買い物や商標登録をしたデザイン、名称も経費にせず資産として処理する必要があります。

また、BtoCなら経費にできるのに、BtoBビジネスでは広告宣伝費にできない場合もあるため注意が必要です。大きな広告をする場合、広告宣伝費を経費にできるかどうかで翌年の税負担が大きく変わることも少なくありません。広告宣伝費を計上するときは、間違えないよう慎重に処理しましょう。

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どの費用で処理をするのか、従業員にとっては判断が難しいものです。「経費精算システム」では、わかりやすい名称で科目の設定が可能なため、従業員の入力ミスを減らすことができます。また、「ワークフローシステム」と連携させることで、簡単に内容の確認ができるため、より効率的かつ正確な処理がおこなえます。