その当たり前が落とし穴、小口現金のデメリットと廃止のメリット

出張費や交通費、急な事務用品の購入等、社員の必要経費に都度、用意された現金を充てる「小口現金管理」は、どこの会社でもある経理業務の仕事のひとつです。一見、当たり前の業務に思えますが、社員が数名の会社ならまだしも、営業所を複数持つほどの会社になれば、その業務量はばかにできないものになります。世の中は少しずつキャッシュレスに動いています。その流れにうまく乗ることがポイントといえます。小口現金管理業務の改革についてみてみましょう。

小口現金管理とは、そのメリットとデメリット

今でも多くの会社で行われている「小口現金管理」について、あらためて考えてみましょう。

小口現金管理とは

そもそも小口現金管理とは何でしょう。そして、どのような機能と役割を会社のなかで果たしているのでしょうか。会社がサービスを提供して売上を上げるために発生する経費は、原材料の購入費から機械の運用費、オフィスの賃料までさまざまです。そのなかで、社員が営業で移動したときの交通費や、事務用品として鉛筆を1本購入したものも経費として経理処理されます。しかし会社の売上や仕入れの支払いと、交通費などの少額の経費を同じルールで運用していては、事務用の備品を1つ買うのにも手間のかかる経理処理が必要とされます。そこで、そのような少額で出入りの多い出費に対する経費を別枠として現金で用意し、それを管理していくのが小口現金管理です。

小口現金管理のメリット

一定額の現金が管理されており、その範囲であれば、社員が必要なときに現金を調達できるので、急な出費にも対応でき、また、個人で立て替えをすることがなくなるので、社員の負担を減らすことができます。現金の出入りは帳簿(出納帳)で管理すればよく、ノートと筆記具があれば管理可能なこともメリットの一つです。現金のほか、切手や収入印紙の扱いにも適用できるので、本社以外、支店や支社、スタッフが1、2名の営業所などでは業務運営上、必要不可欠な仕組みといえるでしょう。

小口現金管理のデメリット

しかし、現金を管理し出し入れする、このわかりやすい仕組みが、かえってデメリットとなることもあります。まとめると次のようになります。

➢      現金を預かる部署(経理部、支店や支社、営業所の経理・事務担当)は、盗難のリスクに備えなければならない。

➢      現金が必要なたび、申請書を記入して現金を入手しなければならない社員の手間と、出金の都度記録をする経理や事務スタッフの手間、さらにその勘定に不一致が生じないように管理する負担がある。

➢      現金を管理する担当スタッフや、本社の目の届かない営業所等で不正利用や流用を招く危険がある。

必要性の高い小口現金管理ですが、これに替わる仕組みがあれば、そちらのほうがリスクの低減や、仕事の効率化につながりそうです。

小口現金管理の廃止方法

小口現金管理は絶対に必要で、避けて通れない業務と思っている会社は多いのではないでしょうか。実は意外と簡単に、小口現金管理を廃止する方法があるのです。それはどのようなものでしょうか。

立て替え期間の長期化と給与振り込み

小口伝票でも交通費等は、実際に社員が交通移動した後に立て替えていた現金を精算する方法があります。それを拡大して、決められた期日のひと月間などに立て替え期間を延ばし、給与の振り込み時に精算して立て替え金額を支払うなどがあります。

プリペイドカード導入と利用履歴の印字

最初から一定額の費用が発生することが見込まれている場合は、プリペイドカードなどの電子マネーを社員ひとりひとりに持たせる方法もあります。カードに記録された出費履歴と実際の利用目的を照合すれば、不正利用を防げます。

社員にクレジットカードを支給する

出張などで必要とされる金額がやや大きい場合は、社員に会社支給のクレジットカードを携行してもらう方法があります。現金の出し入れが極力少なくなり、領収証とクレジット会社の記録とを照合すれば支出の用途も明確になります。なお、プリペイドカードの場合は、海外出張でも利用できる一方、プールされた金額以上の出費の可能性もあるので注意が必要です。クレジットカードとプリペイドカードで、目的に沿って使い分けるのがよいでしょう。

会社の備品購入はネット通販を利用する

オフィスの備品等を専門に販売する通販サイトを利用する方法もあります。一品ずつでも配送されますので、日常の備品の定期的な購入から、営業所等で急に必要になった物品まで購入することができます。購入記録は利用者と物品ごとにすべて通販会社の受付データに残るので、会社の支払い口座から払われた金額との照合も容易です。

小口現金管理の廃止で得られる恩恵

小口現金管理による支払いを、これらの方法で代替させた場合の具体的なメリットについて考えてみましょう。「小口現金管理」のデメリット解消のほか、次のような付加価値が期待できます。

社員・経理社員のコア業務への集中

小口現金管理では、その支払いの管理は出納帳により、経理スタッフが対応します。社員が数名の会社ならまだしも、数十名を超えるような場合は、現金のやりとりも頻繁になり、都度、金庫から現金を取り出して記録する作業は大変です。しかも1日に処理された伝票と領収証等の金額と、出納の記録、残った現金の金額が計算上一致しなければなりません。これらの作業が無くなることで、経理部の負担が減り、本業である経理業務に集中できることになります。

ペーパーレスによる働き方改革

現金による経費処理では、その申請書類や伝票類、領収書等の紙の情報に頼ることになります。現在、注目されている働き方改革のテーマのひとつにペーパーレス化がありますが、現金の精算を減らすことでペーパーレスにつながります。また、経費精算システムを導入し、IT化するのもペーパーレスかつ作業効率化が期待できます。現金やその授受に必要な書類は、できるだけ減らすことが望ましいといえます。

小口現金管理の廃止は働き方改革の一環にも

このように小口現金管理を廃止することで、社員や経理スタッフの負担が減ることは確実です。わかりやすくて慣れているこれまでの方法で処理したい人も多いと思いますが、日常の業務の効率化、省力化は、これからはますます求められます。小口現金管理をその対象にしてみることで、経理部門や他の部門の働き方改革のひとつになるといえるのではないでしょうか。

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