経理スタッフは当然、ビジネスマンが知っておきたい企業会計7原則

日々の製造や販売などの活動が企業の筋骨だとすれば、お金はそのなかを循環する血液。お金がバランスよく巡らなければ、例えば製造にばかり回ってサービスがおろそかになるなど、人間でいえば健康状態の悪い状況に陥ってしまうでしょう。
売上と利益は企業活動の成績、健康診断結果といえます。よって、適切に会計が行われていなければ、会社の健康状態の悪化に気づかないこともあります。それを防ぐ、基本的な企業会計の7つの原則について知っておきましょう。

企業会計の役割とは

経理は会計の専門部署であり、スタッフもほとんどが経理業務の専任です。
企業の会計の役割は、大きく分けると2つあります。1つは、その会社がいくらを売り上げ、どの程度を利益として残せたのかを算定すること。売り上げが「働き」、利益は「成績」という見方ができるかもしれません。会計により売り上げと利益を明確にしないと、その会社がどれだけ頑張ったかがわからなくなり、今後の目標が見えなくなります。
そして、もう1つの会計の役割は、正しくお金が会社内を循環しているかを知る手段であるということです。お金の流れは将来も大丈夫か、もっとお金の使い方を工夫し、売り上げや利益、従業員の給与へ反映できないかなどをチェックする機能です。いわば企業の健康診断の役目です。

このような目的があるため、会計はルールに従って実施されなければなりません。そして毎日の売り上げを正確に計上し、定期的にまとめて把握しなければなりません。月次決算や1年に1度の会計年度の決算がそれに当たります。

経理スタッフの役割

経理スタッフは単にルールに従って会計を進めるだけでなく、会社の業績や納税などの経理に必要な専門知識を求められます。経営層への会計や税務に関する社内経営アドバイザーのような役割といえるでしょう。
経理スタッフが専任なのは、不正の排除という面もあります。営業部と経理部が兼務されていたらどうでしょう。営業成績をよく見せるため、まだ受注されていない仕事でも、確定案件という推測のもと、売り上げを計上しないとも限りません。こうした防止の意味でも、内部統制機能として専任のスタッフや専門部署が必要なのです。経理は社内にも会計報告先の社外に対しても、中立で公平でなくてはなりません。

企業会計の7つの基本原則とは

会計を公的に正しく成立させるためにはルールが重要です。会計というと経費の計上方法や、売り上げの集計方法のようなテクニカルな面が頭に浮かぶでしょう。もちろんそれが会計の本質ですが、その処理を正しく導くための大原則が、企業会計の7つの基本原則なのです。

真実性の原則=真実を報告

「企業会計は、企業の財政状態および経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない」というものです。当然のことと思われるかもしれませんが、財政状態や経営成績は、銀行からの融資や従業員の採用などに影響するという事実が、時としてこの"原則"を忘れさせてしまいます。
業績が優秀な会社のほうが借入や採用でも有利です。上場企業でも株価にとらわれ、粉飾決算などの過ちを犯すことがあるほど。生産製品の資産としての評価方法も、会社に選択権があります。本来は会社の実情に合った方法を選択しなければなりませんが、有利に数値が見せられるような評価をする場合もあり得ます。それらの自己判断も含め、真実が第三者にも伝わる会計に、という原則です。

正規の簿記の原則=正確な会計帳簿

「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない」というものです。会計は1つの取引で、貸方と借方の両方に記録をします。商品を販売し、翌月に代金が入金される場合は売上高として、先々入金予定の場合は売掛金として、2つの資産区分で同時に計上されるのです。これらが正確に行われていないと、貸方と借方が一致せず、正確な帳簿とはいえないわけです。

資本取引・損益取引区分の原則=本業と資本の剰余を区分

「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない」というものです。商品を販売し、仕入れ代金や人件費を払うことを損益取引といいますが、会社の本業の結果として、これを利益剰余金として残します。しかし、それに自己株式の譲渡など資本取引で得た資本剰余金を組み入れてしまうと、本業での稼ぎ(実力・実態)がわからなくなってしまうことになるので、区分しなければなりません。

明瞭性の原則=利害関係者への明瞭な会計開示

「企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない」というものです。会計書類は銀行や税務署に提出され、評価されます。その書類に作成した会社しかわからない表現方法や、ほかのものと混同しやすいような表記があってはならないということです。よって、会計上だれもが使っている言葉や表現で記します。

継続性の原則=毎期同じ算出方法が基本

「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない」というものです。例えば資産の減価償却の方法には、定額法(固定資産の耐用期間中、毎期一定額の減価償却費を計上する方法)と定率法(固定資産の耐用期間中、毎期一定率の償却額を計上する方法)があります。実際の販売状況から適切な方法を企業会計では選択しますが、これをある期は「定額法」、翌期は「定率法」で評価するというような変動があってはならないというものです。もちろん、その評価方法が時流に合わなくなった場合は適宜変更しなければなりません。ただし、そういう事情は短期間に何度も起きることはないというのが前提で、会計結果を期ごとに同一条件で連続して評価できるようにしなければならないということです。

保守主義(安全性)の原則=安定経営に影響のあるものを明示

「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない」というものです。借入先や従業員の生活に対し、会社は責任のある立場です。例えば、売掛金が未収に終わる可能性がある場合は、早めに損金として計上することで正確な入金予定額が見えてきます。また、定年退職者に支払う退職金の準備などもあります。すべてにおいて、先を見越した計画を立て、準備金を会計に反映させなければなりません。このことによって企業の安全が高まるということです。

単一性の原則=目的別の帳簿の禁止

「株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のためなど種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない」というものです。本来、会計帳簿は正確に作成されたもの1つだけしか認められません。よって、税務署用には過少利益で作成した帳簿を作成し、銀行用には融資拡大のために利益を過大評価した帳簿を作成するといった二重帳簿は禁止されています。

原則であって法律ではない

企業会計の7つの原則は、その名が示すとおり原則です。各企業は、自社の業務内容と対象とする市場の状況を踏まえ、企業会計をより正確に、そして公明正大に示せるように、計上方法・処理方法、資産の評価方法を一定の範囲から選択できます。しかし、その会計の処理はこの7つの原則に適合していなければなりません。この原則に従っていれば、高い評価に値する企業会計になることを意味します。会計処理や計上方法で迷ったときは、この7つの原則に立ち戻って考え直してみることが大切です。

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