伝票処理のアウトソーシング「記帳代行」、その効果的な利用法

伝票は発生の都度、経理上の処理となるものです。しかし、紙の領収書やレシートは毎日大量に発生し、限られた経理スタッフだけで処理するのには限界があります。そもそも経理の社員は税務会計のプロフェッショナルであるべきで、伝票入力をするキーパンチャーではありません。入力ミスは正しい会計ができないだけでなく、そのチェックはスタッフのストレスにもなります。
今回は「記帳代行」という入力作業のアウトソーシングについてご紹介します。

経理業務のなかの伝票等の処理

改めて、経理業務のなかの伝票処理について考えてみましょう。

自動化が進まない伝票入力

現在、OCR(光学式読み取り装置)とAI(人工知能)の組み合わせにより、形式の異なる伝票も自動で読み取り、コンピューター入力ができるようになってきました。しかしそれは、大手銀行や生命保険会社などでの伝票類や申し込み書類といった限定的な導入です。
中堅中小企業はもちろん、大手企業でも、いまだに社内伝票や経費精算の領収書やレシートの処理を、手書きの書式やエクセルに入力してのプリントアウトに頼っているケースが少なくありません。クラウド上のサービスの利用によって、社員が使った経費や交通費の精算等を会計システムと連携できるようになってきたところです。いずれにせよ、まだまだ伝票類の仕分け(費目ごとの振り分け)や入力、その保管作業への労力が減らせていないのが現状です。

繁忙期やスタッフの欠員時のリスク

会社の経理業務は、毎日の入出金の把握がいかに正確になされているかが重要です。とはいえ、常に余裕がある人員数で経理業務を行っているという会社はそう多くはありません。月末月初は経理スタッフの残業が多くなることもよくあることでしょう。そこに決算期やボーナス時期などの商戦期間などが重なると、売り上げの変動に合わせて処理すべき伝票はさらに増えることになります。そんなとき、経理スタッフの病欠や退職があったらどうでしょう。

伝票類の処理が遅れることの問題

伝票処理に追われることは経理スタッフの身体的な苦痛とともに、精神的なストレスにもなります。肉体的・精神的に疲労がたまっていては、処理ミスの発生や処理の遅れ、伝票類の記帳漏れや紛失などが生じるリスクが高まるでしょう。伝票が会計システムに入力されなければ、売り上げと経費の実態が把握できず、経営判断にも問題が生じないとも限りません。

「記帳代行」はアウトソーシング

「記帳代行」は“代行”という文字が示すとおり、伝票類の処理を代わって行ってくれる仕組みです。その概要やメリット、デメリットを見てみましょう。

「記帳代行」の請負者

まず「記帳代行」はどこへ頼めばいいのでしょうか。
入力作業が主な業務とはいえ、データ処理の入力専門業者ではなく、税務会計事務所に依頼することがほとんどです。税務会計事務所は、依頼元の会社の税務会計処理を請け負うことを前提に、サービスの一環として記帳代行をし、会計データが定期的に処理・計上されるよう促すのです。
仮に入力は協力機関を使ったとしても、その指導管理者は税務会計事務所であることがほとんどです。企業の税務処理は、税務会計事務所が行うことが法律で定められています。入力そのものは資格が求められるものではなく、誰でも行うことができるものです。税務のことを知らない業者に記帳のみを依頼する場合などは、事前の取り決めや、入力後のチェックを自社で行える体制なども考えておかなければなりません。

「記帳代行」のメリットとデメリット

それでは「記帳代行」を依頼した場合のメリットとデメリットについて、それぞれ考えてみましょう。
メリットは次のように明らかです。

  • 伝票等の量に合わせて専門のスタッフが複数で行うので、最短の期間で処理が終わる。また専門家として請け負うことになるので、入力ミス等は極力少なくなる。
  • 社内に専門のスタッフを雇うための人件費、それを指導する管理費などの経費が不要になる。
  • 定期的に会社の動きがデータ化されるので、損益計算を毎月知ることができ、翌月以降の実際の入金や出金などのお金の動きが把握しやすくなる。

業績が急拡大したり、欠員や繁忙期で経理の人手不足が生じたりしたときなど、「記帳代行」を利用すれば遅れることなく伝票処理ができます。スタートアップ企業や従業員が数名の会社などでは、「記帳代行」は大きな味方となるでしょう。

続いて、デメリットについてです。

  • 伝票の仕分けが曖昧すぎたり、遅れて提出されたりすると、記帳代行で入力を依頼した時点とのずれが生じ、あとで調整するのが意外と手間がかかってしまう。
  • 機械的に処理を依頼するだけだと、無駄な経費の発見や、費用対売上の関係把握などを疎かにしやすくなる。
  • 入力は紙の帳票類やレシートからが前提なので、電子化について疎くなり、旧態依然の体制が継続されてしまうことがある。

これらのメリットとデメリットは、自社の状況に合わせて考えたいところです。

記帳代行の賢い使い方

それでは具体的に、どのような適切な利用の仕方があるのでしょうか。

社内のルール決めもしっかりと

そもそも社員から期限までに伝票が収集されなければ、記帳が遅くなってしまいます。デメリットでも述べましたが、これは記帳代行を請け負う会社と、仕事を依頼する会社の双方にとって、無駄な手間や時間となります。いわゆる「丸投げ」ではなく仕事を発注する側の経理担当者が、社内に経理ルールを浸透させ、統率する仕組みがやはり必要です。レシート等の台紙の貼り方なども定型化したほうがいいのは言うまでもありません。記帳代行で入力が済んだ伝票類は、また依頼した会社に戻されます。商法上これを一定期間保管する義務があるため、記帳代行後のことも考えて運用方法を検討します。

IT化やペーパーレスのための電子化等、働き方改革との関係

世の中の仕事はICT(インフォメーション&コミュニケーション・テクノロジー)による改革が行われています。そのひとつがテレワークであり、在宅勤務が前提の場合は、紙の伝票類を週に一度、本社に送るなどの手間を残すことになります。クラウドサービスによる経費精算システムなど、経理部門の負担を減らす仕組みなども、紙の運用を重視しすぎると利用できないままになります。法律もレシート等、保管義務のある経費の証明書類を将来は画像データで保存できるようにしていく方向です。そういった流れも常にウォッチしながら、社内の経理業務のIT化とのバランスを見ながら、「記帳代行」等のアウトソーシングを活用するようにしたいものです。

記帳代行は使う側の主体性が大切

アウトソーシングの活用では全般的にいえることですが、発注者側がいかに計画的に主体性をもって行えるかがその成否を決めます。幸い、財務会計はルールが一定なので、「記帳代行」もその委託先を変更しやすいともいえます。自社の目的に適うパートナーを、ある程度時間をかけて探すというスタンスでも大丈夫なのです。いずれにせよ、依頼する側が会計処理の社内でのノウハウの蓄積の仕方や、経営についてのデータの活用、将来のICT化の方向性などを見据え、主体的に「記帳代行」を利用していくことが重要なのです。

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